「農水省の判断が甘い」 バイオ燃料生産拠点の確立支援事
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農林水産省が支援するバイオ燃料生産拠点を確立する事業3件を検
原料調達や地域全体での枠組み作りで問題があり、赤字状態である
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農林水産省が支援するバイオ燃料生産拠点を確立する事業3件が、原料調達や地域全体での枠組み作りに問題があり、赤字状態であることが検証により判明した。事業を検証した委員会では、リスク対応を含まない計画を妥当なものとして承認し、補助事業の対象とした農水省の判断が甘い、と断じている。
同省では、平成19年度より、北海道清水町(事業実施主体:北海道バイオエタノール)、北海道苫小牧市(同:オエノンホールディングス)、新潟県新潟市(同:全国農業協同組合連合会)の3地区(北海道2地区、新潟県1地区)において国産バイオエタノール生産に係る原料調達から燃料製造・販売までの経済性のある一貫システム構築のための取り組みを支援している(補助事業名は、平成19年度から平成23年度まではバイオ燃料地域利用モデル実証事業、平成24年度以降はバイオ燃料生産拠点確立事業)。
しかし、3地区はいずれも事業開始から7年が経過した現在においても、自立化・事業化に向けては、依然として補助金に依存した高コスト構造の是正が大きな課題となっている。昨年12月に公表された自民党の行政改革推進本部「無駄撲滅プロジェクトチーム」報告書においても、今後の事業展開の可能性を検証し、可能性がない場合は予算の執行を停止すべき等の提案を受けている。
このような状況を踏まえ、外部有識者からなる「バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会」において、バイオ燃料生産拠点確立事業の政策的意義や実施地区の自立化(事業化)の可能性等について検証を行ってきたが、この度、報告書が取りまとめた。
同委員会は、本報告書で各地区のこれまでの取り組みの総括とそれらを踏まえた今後の自立化・事業化のために必要となる条件や事業実施主体の取り組みについて提示している。
北海道清水町(事業実施主体:北海道バイオエタノール)
北海道苫小牧市(同:オエノンホールディングス)
バイオエタノールの製造技術を確立するとともに、製造コスト削減を図るための様々な取組が行われてきている点は、一定の評価ができる。しかし、自立化・事業化には依然として高コスト構造の是正が課題となっている。これは、原料調達に係る計画・見通しが大きく狂ったことが主要因となっている。
原料調達については、量的にも価格的にも地元農家の協力を得た安定供給体制の仕組みや取り決め・契約的なものが必要。間違いなく製造コスト削減等の取り組みが実現可能であるという根拠が明確になっていない。事業実施主体がそれぞれの取組について責任を明確にすることが必要。楽観的ケースのみ事業化できるというのは、事業化計画として評価することはできない。原料や外部要因の変動があっても、事業化が成り立つものとすべき。
新潟県新潟市(同:全国農業協同組合連合会)
他の2地区とは異なり、入口(原料調達)と出口(販売)の安定した体制が構築されている。また、全てのプロセスを一貫して新潟県内で行う地域循環型エネルギーシステムが構築されており、日本のモデルとなる素地はある。
一方、施設規模が最大生産量1,000kL/年と小さいため、依然として製造コストが大きく、また、メンテナンス費用が想像以上にかかったこと、重油からもみ殻ブリケット燃料への転換の遅れ等の影響を受け、当初想定していたとおりには収支改善が進んでいないところが大きな課題である。
補助事業終了後も発生する赤字部分の負担のあり方について、地元との合意形成等、事業主体としてどのように対応するかあらかじめ明確にすることが必要。
今後の取り進め方
各事業において、示したた今後の自立化・事業化のために必要となる条件等には、原料供給に係る取り決めのための生産農家との交渉等短期間の対応が困難なものがあるため、事業実施主体から具体的な工程表と自立化・事業化に向けた資金調達の考え方が示されるのであれば、一定の時間的猶予を与えるという考え方もある。
一方、委員会において事業実施主体から示された今後の取り組み内容、競合する穀物需給動向や政策的支援の枠組み等原料作物を巡る情勢を踏まえると、仮に1年程度猶予があっても、自立化・事業化の実現可能性に大きな変化が生じるとは考えにくく、逆に結論を出す時期を遅らせ、事業を継続することにより、その分だけ国、事業実施主体が避けることのできた不要の負担を負う可能性があるという考え方もある。
これらを踏まえて、農水省において各地区における今後の補助事業の取扱いについて十分検討の上、その結論を得次第、その理由とともに速やかにこれを公表することを併せて要請している。また、平成26年4月11日に閣議決定された新しい「エネルギー基本計画」において、次世代バイオ燃料の技術開発の動向などを踏まえつつ、バイオ燃料の導入を継続するとされたことや、国産のバイオエタノール生産が有する社会的利益に鑑み、事業としての経済性・持続性の確保を前提に、国においては、バイオ燃料の導入促進のための新しい施策の検討も進められるべきである旨を付言している。
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