バイオマスで売電 二豊味噌協業組合、工場排水利用
日本経済新聞よりバイオマスで売電 二豊味噌協業組合、工場排水利用 味噌製造の二豊味噌協業組合(大分県臼杵市、渡辺規生代表理事)は味噌工場の排水をメタン発酵処理して発生させた電力の売電を始めた。食品工場の排水をバイオマス発電に利用し、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づいて売電するのは全国初という。設備を設置したIHIは今後、全国の食品工場などに売り込む方針。 二豊味噌が発電に使うのは有機性排水を処理してメタンガスを発生させる排水処理装置と、メタンガスを燃料に発電して熱も回収するコージェネレーション装置。排水処理装置はIHIグループのIHI環境エンジニアリング(東京・江東)が開発し、コージェネ装置はドイツの発電機器メーカー、2G社製の発電出力50キロワット機を採用した。 排水処理装置は以前から使っていたが、FITの開始を受け、同装置とガス発電機を組み合わせて販売を目指すIHIが5月、実証試験目的でコージェネ装置を設置。両装置をつなげて稼働させ、6月に売電を始めた。
実証試験の結果、排水の量や濃度の変動を吸収して「安定して発電できることが確認できた」(IHI環境エンジニアリング)としている。二豊味噌は九州電力への売電による収入と熱利用による燃料費削減効果を年間で計500万円程度と見込んでいる。
IHIの排水処理装置は嫌気性のメタン生成菌を利用する。好気性微生物で分解する一般的な活性汚泥法に比べ、処理速度が速く、空気を送り込む動力が不要。汚泥発生量が大幅に減るなどの利点もある。導入コストが難点だったが、FITの開始で売電収入による投資回収が可能になった。
IHIは今後、活性汚泥法での排水処理が多い中小規模の食品工場を中心に、排水処理装置とガス発電機を組み合わせて売り込む方針だ。価格は1億円程度から。
5月末までにFITの設備認定を受けたメタン発酵のバイオマス発電は25件。大半が家畜のし尿や生ごみを利用するもので、食品工場の排水を活用した売電は二豊味噌が第1号とみられる。
二豊味噌は1972年、中小味噌製造業者の生産設備集約を目的に発足。現在は富士甚醤油(臼杵市)など大分県内の23社が販売する味噌を製造している。2012年度の売上高は8億2400万円。
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