2014年4月15日火曜日

新エネルギー基本計画が閣議決定 電力システム改革を成長戦略に活用

新エネルギー基本計画が閣議決定 電力システム改革を成長戦略に活用

2014年4月14日掲載
新エネルギー基本計画が閣議決定 電力システム改革を成長戦略に活用










政府は11日、国のエネルギー政策の基本的な方向性を示す、新たなエネルギー基本計画を閣議決定した。本計画では、原子力発電を電力供給において低廉で安定的な「ベースロード電源」と位置付け、また、再生可能エネルギーの導入は最大限推進していく方針を示している。各電源の構成比は明記していない。二次エネルギーの供給方法の多様化に向けては、水素や蓄電池などの技術の活用について着実に取り組みを進めていくとしている。
今週1週間にわたり、テーマを決めて、本エネルギー基本計画の概要を紹介する。第1回目のテーマは「電力システム改革」。電力システム改革は、エネルギー供給事業者の相互参入、新たな技術やサービスのノウハウを持つ様々な新規参入者の参入を促すことで、産業構造を抜本的に変革する。
本計画では、電力システム改革について、その内容と実施時期や、具体的制度設計において検討すべきことを提示している。また、電力システム改革とともにガスシステムや熱供給システムの改革も同時に進め、分野ごとに縦割型の構造を持つエネルギー市場を、統合された市場構造へと転換することで、総合エネルギー企業等の創出と、エネルギーを軸した成長戦略の実現を目指す方針を掲げている。
概要は以下の通り。

電力システム改革の内容と実施時期

「電力システムに関する改革方針」(2013年4月)において、広域系統運用の拡大、小売・発電の全面自由化及び法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保を柱とする大胆な改革に取り組むことを閣議決定した。
本改革により、全国大での系統運用を可能として需給調整機能を強化し、電力の安定供給を確保するとともに、小売及び発電の全面自由化や電気の先物取引に係る制度の整備などによって、市場をより競争的なものとすることで、電気料金を最大限抑制する仕組みが働く構造を構築していく。
さらに、送配電部門の中立性を法的にも担保しつつ、電力供給の基盤となる送配電網整備のための投資回収がより適切に行われるとともに、分散型電源の一層の活用が進みやすい環境を実現していくことで、柔軟性のある安定供給体制を確立していく。
電力システム改革は、三段階で順次制度改正を進め、2018年から2020年までを目途に完結することとしている。2013年臨時国会では、第一段階の電気事業法改正法案が成立し、さらに2014年通常国会に第二段階の同法改正法案を提出したところである。第三段階の同法改正法案については、2015年通常国会に提出することを目指すものとしている。

安定した電力供給を確保するための具体的制度設計

電力システム改革に関する詳細な制度設計に当たっては、系統運用者による調整電源の調達の枠組みや、小売事業者に対する供給力確保義務、広域的運営推進機関による発電所建設事業者募集の仕組みの導入、各種制度改革を踏まえた託送制度の見直し等について、引き続き検討を行っていく。
また、災害時を含む電力需給のひっ迫、地域を越えた電力取引の拡大、出力変動のある再生可能エネルギーの導入拡大等に対応するため、政府が示す政策方針や、広域的運営推進機関が策定する計画に基づき、東西の周波数変換設備や地域間連系線等の送電インフラの増強を進める。
なお、望ましい電源構成を実現するための施策を講じる場合には、電力システム改革に関する詳細制度設計において、そうした施策と整合的になるよう配慮を行う。

電力システム改革等を起爆剤に成長戦略を実現

制度改革を進め、既存のエネルギー企業を、様々なエネルギー供給サービスを行う総合エネルギー企業へと発展させていく市場環境を整備する。総合エネルギー企業は、産業全体の効率性の向上や新たな市場の開拓を進め、わが国の経済成長を牽引していくことが期待される。
総合エネルギー企業は、エネルギー需要が拡大する国際市場を開拓していく役割を担っていくことも求められる。わが国がリードする先端技術として、蓄電池や、家庭用燃料電池(エネファーム)などの水素関連技術をあげる。
わが国には、こうした技術のほか、多くの先端的な省エネルギー・再生可能エネルギー技術が存在し、これらを実際に活用していくことで新たな市場を創出していくことが可能である。電力システム改革を始めとする制度改革の推進と併せて、新たな技術の実装化を進めるための実証事業などを通じて、世界最先端のエネルギー関連市場の創出を進めていく。

【本エネルギー基本計画について】

東日本大震災以降、最初の計画となる。エネルギーを巡る国内外の環境の大きな変化を踏まえ、今後20年程度のエネルギー需要構造を視野に、特に2018年~2020年までを、安定的なエネルギー需給構造を確立するための集中改革実施期間とし、当該期間におけるエネルギー政策の方向を定めている。
エネルギー基本計画は、2002年6月に制定されたエネルギー政策基本法に基づき、政府が策定するもので、「安全性」、「安定供給」、「経済効率性の向上」、「環境への適合」というエネルギー政策の基本方針に則り、エネルギー政策の基本的な方向性を示すもの。2003年10月に最初の計画が策定され、その後、2007年3月に第二次計画、2010年6月に第三次計画が策定された。今回の計画は第四次計画となる。

http://www.meti.go.jp/press/2014/04/20140411001/20140411001.html

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